Onとともに -2nd Season- Vol.1

Onとともに

- 2nd Season -

2020.7.21 update

いつでも”オン”。 スイス生まれのランニングシューズブランドOnには”オフ”という概念はありません。 仕事終わりの遊びも、トレーニングウエアから普段着に着替えた後も、Onのシューズを履けば常に”オン”なの です。そんなOnと共にランニングライフを楽しんでいる人たちをフューチャーした連載企画『Onとともに』の2ndシーズン。 そして、Onと友になって#Onfriendsの輪を広げよう。

青木 真也(SHINYA AOKI)
プロレスラー / 1983年5月9日生まれ。静岡県出身。

青木 真也 (SHINYA AOKI)
プロレスラー / 1983年5月9日生まれ。静岡県出身。

小学校3年生の頃から柔道を始め、2002年に全日本ジュニア強化選手に選抜。柔道では通常使わないような跳び つき腕ひしぎ十字固めなどの技を得意とし、早稲田大学在学中に柔道から総合格闘技に転身。06年2月に「修斗 」ミドル級世界王座を獲得。その翌月、大学卒業後、静岡県警に就職するも2カ月で退職して再び総合格闘家の 道へ。06年「PRIDE」初参戦。08年「DREAM」設立と同時に参戦、同年末にWAMMA世界ライト級王者。0 9年に日本人選手初となるDREAMライト級王座。12年に「ONE FC」と契約。13年4月にONE FC世界ライト 級王者となる。14年4月からIGFに登場しプロレスにも参戦。17年にNEW、18年からはDDTプロレスリングに 参戦、DDT EXTREAM級王座、アイアンマンヘビーメタル級王座を獲得。文筆や講演にも活動の幅を広げ、ウ ェブ連載「note」など多数。著書に『青木真也の柔道&柔術入門』など格闘技専門書のほか『空気を読んではい けない』(幻冬舎)、『距離思考』(徳間書店)がある。

Movie & Photo_IORI MATSUSAIRA
Interviewer_駒田 博紀(On Japan)/ 今井タカシ(atmos初代店長)

- INTERVIEW

Komada (以下、K): よろしくお願いします。いきなりですが、青木さんって多分、元々はOnを知らなかったですよね?

Aoki (以下、A): ほんと最近まで知らなかったですね。

K: Onを知ったきっかけは何でしたか?

A: 宇野薫さんですね。最近、彼がランニングしているシーンをInstagramで見ていて、気がつきました。「あれ?宇野さんのシューズ変わったな」って。

K: 宇野さんって普段から色々なシューズやアパレルを着ていますよね?その中で特にOnに気づいたんですか?

A: 宇野さんがランニングしてるときやトレーニングしているとき、Onを見かけることが特に増えて。「あ〜、また何か『流れ』をつかんだんだな」と思っていました。彼のモノ選びには信頼があって。服でもスニーカーでもサプリメントでも。広告として使わされているなんていうことはなくて、そういうものに左右されずに、彼はいつも好きなものだけを使っているから。だから、きっとOnって良いんだろうなと思っていました。

K: 先日、格闘技の試合を宇野さんと共同で解説しましたよね?宇野さんから聞いたんですが、そのとき青木さんが「最近それよく履いてますよね。それ、良いんですか?」って聞いたんですね。

A: はい。そのときにはじめて具体的に聞いたんですよ。そうしたら、宇野さんが「これなんか良いんだよね」って。曖昧な感じで勧めてくれました(笑)

K: なんか良いんだよね、ってなんかいいですね(笑)

A: 僕、そんなにファッションとかに明るい方じゃないので。アンテナも張れていないと思っています。だから、アンテナを持っている人に聞くことが多いです。

K: 宇野さん以外だと、誰に聞きますか?

A: いや、もうほとんど宇野さんですね。使ってる病院とかも聞きますし、練習で使うグローブなんかも。練習着とかパフォーマンスに関しては僕もそれなりにこだわりはあるんですが、それでも大体宇野さんに聞いちゃいますね。「これどうなの?」って。

Imai (以下、I): 宇野さんから、青木さんはスニーカーがお好きだって聞いていたんですが、どういうのが好きなんですか?

A: はい、靴好きですね!ずっとNew Balanceのクラシックな感じのものが好きでしたね。僕、試合直前のコンディショニング以外で、そんなにランニングとかしないので。だから靴はクラシック系が多かったです。

K: そこが面白かったんですよね。青木さんの本「距離思考」で読んだんですが、青木さんは基本ウェイトトレーニングをしないとか。ランニングもあんまりしない。さっき撮影中にはじめて聞いたけど、ストレッチすらほとんどしない。

A: はい。

K: だから、ランニングをベースにしたOnみたいなシューズに、青木さんは興味を持ちようがないんじゃないかな、と思っていたんです。

A: スポーツ用のシューズをカジュアルに履く、という発想がなかったんですよね。

K: じゃあ、そんな青木さんがランニング生まれのOnに興味を持ったというのは、珍しいことなんですね。

A: あー……そうですね。「ギリギリのライン」だったんだと思います。スポーツすぎない見た目っていうか。普段でも履けるデザインなのに、パフォーマンスが高いっていう。

K: 青木さんがよく履いてくださっている Cloudswift や Cloud って、まさにそういうシューズです。どちらも、パフォーマンスとファッションがクロスオーバーしているモデルっていうか。パフォーマンスシューズなんだけどファッションにも使えるハイブリッドなモデル。だからこそ、atmosに置かれているんですね。

A: そういうクロスオーバーとかハイブリッドって、僕の思うライフスタイルや働き方と近くて。それまでは「格闘技選手は格闘技以外のことをやっちゃいけない」みたいな暗黙の了解みたいなものがありましたけど、だんだんそれがボーダーレス、シームレスになってきたと感じています。境目がなくなってきたんですね。僕はよく「日常を切り取ったものが試合」「試合は特別なものじゃなくて日常の延長」だって言うんですけど。その人の人柄だったり、取り組みが試合に出ます。日常と試合、パフォーマンスの境目が一切なくなっているんです。そういう意味で、Onは「日常」を大切にしているシューズだと思います。

K: Onの創業者も同じことを言うんです。仕事とスポーツや遊び、それらがどんどんシームレスになっているって。どんどん境目が薄れて曖昧になっていっている。だから、スニーカーとして使えるカッコいいシューズでそのまま仕事に行ったり、あるいは走ったり。そういう、シームレスに日常を楽しめるシューズやアパレルを提案していくのが、これからのOnの方向だと考えています。だから、青木さんがおっしゃったことは、そのままOnの方向性なんですよね。その方向性を、Onは「Performance All Day」と呼んでいます。

A: パフォーマンス・オールデイ!まさしく。それで言うと、これからビジネスマンがアスリート化していくと思っているんです。常に良いコンディションを整えておかないと、パフォーマンスできないじゃないですか。昔気質の「夜遅くまで飲んで次の日も朝から出社」みたいなスタイルだと…。

K: そんなんじゃ絶対良い仕事はできないですよね。

A: そうじゃないですか!仕事もそうだし、格闘技もスポーツもみんなそうだと思うんです。コンディションを整えるのがまず大事。その意味で、Onというのはこの時勢というか、今向きのシューズだと思いますね。

K: コンディショニングと言えば、青木さんの学生時代の話を聞きました。柔道部で監督からオフをもらったとき、他の部員たちはみんな遊びに行ったり、買い物していたのに、青木さんは1人だけコンディショニングに使っていたとか。

A: そうですね。昔からそういう発想はありました。特に最近ですね。30代に入ってから。空白の時間がないと良いものはできない、ということをすごく感じます。年齢を重ねると、当然練習量は減ってきます。伸び代も減ります。だからこそ、良いものを作るため、やりくりしないといけないです。そこが面白さでもあるんですけど。空白の時間を作って考える時間を持たないと、詰めすぎると良いものができないと思っています。

K: 空白の時間で執筆活動とかもしているんですか?

A: そうですね。基本的に考えることが好きなので。

K: 宇野さんが言っていたんですけど、「青木さんに話を聞くと面白いと思いますよ。あの人は『言葉を持っている格闘家』ですから」って。昔から身体を使ったパフォーマンス以外に、言葉も意識してきたんですか?

A: 僕は人の「言葉」で作られてきたと思ってるんですよ。運動能力がある人が得意な運動に出会って、その運動で成功した。「ああそうですか」って話じゃないですか(笑)

K: 「よかったですね」って思いますね(笑)

A: 「ラッキーですね」で終わりじゃないですか(笑) だから、ほとんどのアスリートの本って売れないですよ。極論すると。ああすごいね、で終わるんで。それに対して、どういう意図でどういう工夫をして、っていうことを言語化して、多くの人の自分ごとになるよう、広く横に伝えることができれば価値が生まれるじゃないですか。それを一番伝えることができるのは、言葉しかないですよね。だから言葉を大事にしています。

K: 確かに、一流を超えて歴史に残るようなアスリートというのは、その言葉も印象的ですね。独特の言い回しとか。独特の言い回しと言えば、青木さんの例の「おれたちはファミリーだ」。

A: おれたちはファミリーだ。はい。

K: そう言い始めたのは、ここ2-3年のことですよね?

A: そういう言葉って、僕、基本的にどこかから拾ってくるんですよ。「おれたちはファミリーだ」も拾ってきましたもん。

K: それって「距離思想」の中に書いてあったな…。

A: あれね。僕の仲の良い知り合い、家庭をふたつ持ってる人なんですけど(笑)、その人がふたつ目の家庭を連れてきて僕に紹介するとき、「あ、ファミリーです」って言ったんですよ。

K: それ、なかなかいい言葉選びですよね(笑)

A: それを最初聞いたときに、メチャクチャ面白いと思って(笑)

K: そうね(笑)

A: なるほど、「ファミリー」かと。これはいいと思って。この社会、結婚とか制度とかに縛られている人は多いような気がするんですよ。それより、もっとゆるやかな都合の良い助け合いとか、そういう関係性の方が生きやすいんじゃないかと思ってるんですよ。だからこれはいいなと。これからは「おれたちはファミリーだ」でゴマかしてやろうと。

K: (爆笑) そのこと、僕もOnの仕事をはじめる直前に考え込んだことがありました。僕も離婚したんですけど。そこに至るまでに、離婚しちゃダメなんだという世間、というか自分の中の固定観念ですかね、そういうものに縛られて動きがとれないまま、どんどん年をとってしまう怖さも感じました。結果的にはスッと別居に至りましたけどね。

A: おー。それ、よかったですねぇ。

K: ほんとよかったです。そうなった途端、Onという新しい仕事が舞い込んできたり…。

A: 新しいものに挑戦できるようになった?

K: そう。だから心地良かったですよ。当時の家庭こそ失いましたが、その代わりにOn のお客さんとのふんわりとした繋がりもできました。僕のランニング生活とかレースとか、仕事を応援してくれたり、たまにイベントに駆けつけてくれたり、買ってくれたり。そういう人たちのことを、僕は「#OnFriends」と呼びはじめたんです。

A: はい、見てました。

K: その「#OnFriends」と、青木さんのいう「ファミリー」が、僕にとってはすごく重なり合ったんです。

A: いや、同じですよ。同じです。はい。

K: 法律でいうところの「家族」ではない。「友達」というほど日頃近すぎもしない。でもなんとなくお互いのことを…。

A: いざというときは助けるよ、とか。

K: はい。イベントがあったらたまには会いにいくよとか。そんな感じの、ゆるやかな繋がりです。そして、そういう人たちって、お互いに優しいんですよ。すごく。

A: 距離感があるからこそ優しい、っていうことありますよね?

K: ありますよね。近くなりすぎると途端に傷つけ合うことってあるじゃないですか。過去の僕の場合、自分の人徳のなさでそうなったわけですけど。

A: いやー、いい話だなぁ(笑) いやー、そうなんですよ。そうなんだよなぁ。

I: もはや何のインタビューかわからないっすね(笑)

K: まあそんなわけで、離婚したわけですけど。そのときに真っ先にやったのは、家を売ること、車を売ること、全てまっさらにすること。どこに行ったって生きていける、仕事する気力さえあれば大丈夫なんだ、って状態にすることでした。

A: それわかるなぁ。ミニマリスト的な、そういう感じですよね。ミニマリスト的な生き方がOnっぽいですね。

K: 青木さん、ご自分をミニマリストって呼びますよね。

A: はい、Onってミニマリスト向きですよ。僕、シューズに関しては「7足理論」っていうのを持っていて。7足以上持ちたくないんですよ。7足がマックス。7足のレギュラーがいてくれたらそれでいいんです。8足以上あったらレギュラーから落ちる、二軍ができちゃうじゃないですか。身軽でいたいんですよね。

K: 身軽でいたいっていう気持ち、すごくわかります。

A: 今までの「こうあるべき」がどんどん覆されている世の中になっていると思います。

K: Onの商品開発でも、「ランニングシューズはこうあるべき」とか、そういう常識は覆されつつありますし、ランニングシューズが日常に入っていってもいいんだと思っています。そうして「こうあるべき」をどんどん曖昧にしていった結果、今青木さんが履いているようなシューズが生まれています。パフォーマンスもできるし、スニーカーとしても使えるもの。それ1足で色々まかなえてしまう、ミニマリスト的なもの。

A: 実際にパフォーマンスの分野だけで使っている人って、少ないですもんね。

K: 確かに、ライフスタイル全体から見たら、ほんの一部分ですね。パフォーマンスの分野で生まれたものが、いつの間にかライフスタイルで使われていきますよね。バッシュだって、テニスシューズだって、それからランニングシューズだってそう。

I: 逆に、パフォーマンスに特化しすぎたデザインのモノは、ライフスタイルでは受け入れられづらいですね。ただOnは、そんなビンビンに特化しすぎた激しいデザインじゃないので。

K: Onはシンプルでクリーンなデザインを目指していますからね。どんな人にも、どんなライフスタイルにも溶け込むような。言い換えれば、デザインもミニマルなんです。

A: はい、そこがすごくいいなと思いますね。

I: それでいて、実はすごくハイパフォーマンスっていうのがね。そこがOnの新しさですね。

K: そういうブランドでありたいと思っていたら、ミニマルな青木さんのような人とこうして出会えたんですかね。

A: なんか、名刺交換会とかあるじゃないですか。そこまでしてそんなの欲しくないと思っています。自分の軸を持って生きていれば、自分と近しい人とは自然と巡り合うし、良い人間関係も生まれていきます。あえて作り出して所有するような必要性はないと思っていますね。

K: 青木さんは、ありとあらゆる物事を削ぎ落としていっているような印象を受けます。人間関係でもベタベタした関係は好まなかったり、スニーカーは7足以上持たなかったり。そこに一本通じるものを感じていて、それを一言でキーワード化すると「ミニマル」なのかなと。だから、自然とOnに出会ってくれたのかなと思います。

A: 持ち物が少なくなるからこそ、ひとつひとつのモノに対してこだわりは出てきます。

K: 厳選して?

A: そう、厳選して。本当に良いもの、好きなものだけを。所有するモノが少なくなるなら、良いモノを選んで持っておきたいですね。

K: なんでもいい、ボロボロのものでもいい、とりあえず数を減らしていきたいという意味のミニマリストではないということですね。

A: はい。ひとつひとつのモノに意味があるようにしておきたいです。「なんでそれを持ってるの?」と聞かれたとき、こういう理由があってこれを持っているんだよと言える人でありたいなと思います。

K: 「なんで今そのピンクのTシャツを着ているの?」と聞かれたら、宇野さんの話をするわけですね。

A: そうです。「宇野さんとはこういう関係でね」って言えますよね。ストーリーを語れるモノを持っておきたいですね。

K: 「なんでその靴履いてるの?」って聞かれますか?

A: 最近、ほんとそれよく聞かれるんですよ。色々な競技のアスリートから聞かれますね。柔道の選手、ガチの陸上競技の人、格闘技の選手…。トレーニングにするとき、靴ってパフォーマンスに直結するじゃないですか。彼らから、いかにもアンテナ張り巡らしてる感じで聞かれましたね。僕が履いているということには、意味があるんだと思っているんでしょうね。

K: 青木さんが選んだということは、そこに必ずストーリーがあると知っているんですね。ストーリーがないものは着ない、履かない、そう思うんでしょうね。

A: で、「履きやすいけど、お前らにとってどうかはわからん」って答えます(笑)

K: 普段履いてて疲れないですか?

A: この Cloudswift、本当に良いですよ。一番良いと思います。遠征多いんで、一番ラクなこれを履きたいですね。

K: 「Onとともに」でいてくれるんですね。ところで、遠征先で走ったりはしますか?それもしない? A: 試合直前になると、極力リスクを減らしたトレーニングをしたいんです。組み合うとか打ち合うとか、そういう練習ができなくなる。そういうときに汗をかきたいとなると、走るのが一番いいんですよね。あとランニングは、「断てる」んですよ。スマホ持ってるといくらでも情報が入ってきてしまうけど、ランニングとか自転車とかサウナとかは、そういうものを「断てる」。情報から離れる時間を大切にしたいなと思っているんです。

K: 情報もなるべく削ぎ落としたい?

A: そう、遮断する。それを遮断できるものって、今流行っているように思いますよ。ランニングにせよ、サイクリングにせよ。運動しているときって、情報を持ち込めないですよ。極力情報から離れる時間を意識的に作ることが大事だと思います。

K: 普段は絶対スマホいじっちゃいますもんね。

A: ですよね。絶対そうじゃないですか。メールだって見ないわけにいかないですよね。

K: 「Work from Home」とかになると、ありとあらゆるメッセージアプリみたいなやつがいくらでも追いかけてくるし。

A: どんどん便利になるけど、どんどん縛られていきますよね。

K: だから、あえて情報を断つと。

A: そうですね。だからこそ、シューズもそうだし、情報を断てる状況にできるモノがこれからもっと大切になると思うんですよ。

K: すごくわかります。でも、そういう観点でモノを選ぶ人って少ないでしょうね。スニーカーが好きだから自然と増えていく、という人はいるんでしょうけど。何かを断つためにシューズを選ぶ、というのは面白い発想ですね。

A: でもランニングってそういう側面があるような気がします。

K: 今井さんは僕よりずっとランナーですけど、今井さんはランニングで「何かを削る」側面ってありますか?

I: 僕、ランニングやっていたら、逆にランニングギア増えちゃってね(笑)

A・K: (笑)

I: そうなんですよ。仕事柄もあってね。なんだかんだ増えちゃって困ったな、というのはありますね。

K: 「二軍」のシューズも出ちゃいますか?

I: 正直、二軍も三軍も出ちゃいますね(笑) さっきの青木さんの話、7足までしか持ちたくないっていう気持ち、すごく分かるんですよね。僕はずっとスニーカーの仕事をやっていたこともあって、過去には最大で2000足くらい持ってたことがあるんですよ。

A: 2000!はぁ〜、千手観音ですねぇ。

I: 自分でブランドをやっていたこともあって。サンプルを制作したり、商品を溜め込んでいたり。でも、事務所を引っ越すときに物理的な制約もあって、友達にあげるとかしたんですよ。それでも整理しきれない1000足くらいを、3トン車に来てもらって産業廃棄物として捨てたことがありました。そのときはね…。もうなんかね、切ないのと、あとは「ああ、俺ってすごく罪なことをしたんだな」って気持ちになりました。何やってんだろう俺、って。

K: それってつらいでしょうね…。

I: だから、それからはそんな悲しい気持ちにならないように、スニーカーを溜め込まないようになりました。大体今は5-60足くらいですかね。増やしすぎちゃうと、あのときの悲しい気持ちが蘇ってしまうので。

K: 捨てるのって悲しいですもんね。

I: あとは加水分解でダメになっちゃうってこともありましたね。

A: そう、そうなんですよ。加水分解。加水分解で思い出したんですけど、本当に好きなシューズを直して履いてるのもありますよ。ソールを全取っ替えして。

I: 全取っ替えまでしたんだ(笑)

K: それは青木さんの「一軍」ってことですよね(笑)

A: はい。それはいまだに一軍です(笑) 10年来、一軍。それはストーリーがついちゃってて。そのシューズでどこ行った、何をした、というストーリーがついちゃったものから離れられない。

K: ストーリーを大事にする青木さんらしいですね。

A: 僕の仕事がそうなのかも知れないんですけど、物語がないと、やっぱり価値がないと思っちゃうんですよ。

K: ブランドもそうかも知れないです。どこのモノも、みんな出来はいいから。みんなそれなりにカッコいいし、性能もいい。だから、そこにどんな想いが込められているのか、どんな歴史が、ストーリーがあるのか。

A: 主義主張と物語ですよね。

K: そうなんです。主義主張と物語っていうことになると、それはただのモノの「メーカー」ではなくなってきて、あたかも人格をもった生き物になる。それを僕たちは「ブランド」と呼ぶのかなと。

A: 思想、信念、主義主張。やっぱりそれがないと価値を感じ取れないですね。

K: そう思ってくれる青木さんや宇野さん、ひとりひとりのストーリーや想いがモノに込もってくると、Onは「ブランド」になってくるように思います。

A: 今っていろんなブランドが増えてきてるじゃないですか?それは格闘技も同じで。マスでたくさんの人に向けたものだけじゃなくて、ひとりひとり、確実にこれだけのファンがいるっていうブランドが強いですよ。

I: そういうコアなファンがいない商売はキツいと思いますね。

A: キツいですよね。

I: それがあってはじめてメジャーにもいける。いかにメジャー化するのか、というのはビジネスとして大事な側面ではあるけど、まずはそのコアがいるかどうかを大切にして見極めなくてはいけない。

A: ホント、そう思う。最近、フォロワー数とかPV数とか言われるじゃないですか。それってあんまり意味を成してないなって思ってるんですよ。それよりも極端な話、Tシャツ100枚を売れる方がずっと強い。

K: 顔が見える100人?

A: その顔が見ている方がずっと強い。何万人のフォロワーがいます、何十万のPVがあります、なんていうよりも確実に応援してくれる人たちがいます、って方がずっと。

K: 僕もその考え方ですね。確実に応援してくれる人たちというのは、彼ら自身のコミュニティに熱心に広めてくれるんですよ。そうしたら、いつかまたそのコミュニティの人たちも応援してくれるようになる。100人の顔が見える人たちを大切にしていたら、必ず広がる。それを僕は大事にしています。そういう人たちを僕は「#OnFriends」と。青木さんで言えばそれは「ファミリー」なのかな。

A: そういうコアな人たちに向けた本物のモノ作り、ストーリーを意識していないと、最終的に露出に耐えられないと思います。

K: 露出すればするほどボロが出るから。薄っぺらさが出てしまうから。

A: はい、はい(笑) そうならないように気をつけています。

K: 僕、青木さんの「距離思考」を読んでから勝手に共感していましたけど、やっぱりこうしてお話できて良かったです。

A: メチャメチャ良かったです。

K: 僕にとってのOnの「ファミリー」、つまり「#OnFriends」なんですが、彼らはこれから先、青木さんを応援してくれると思うんです。その #OnFriends に向けて、最後にメッセージをいただけますか?

A: 僕、その #OnFriends にもう入り込んじゃってますよね?

K: はい。

A: その意味では、メッセージはないですよ。だって、同じ立ち位置になってるわけだから。僕もう入っちゃってますから。末席に座らせてもらいますよ。

K: 末席(笑)

A: 末席に座らせていただいてもよろしいでしょうか。おれたちはファミリーだ。

K: ありがとうございました!

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- Back Number (2nd Season)

  • 青木 真也(SHINYA AOKI)
  • coming soon...
  • coming soon...

- Back Number (1st Season)

  • 宇野 薫(CAOL UNO)
  • 勝俣水稀(ZUKKY)
  • 今井 タカシ(TIMAI)

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